環境トピックス

雪国名物・消雪パイプで “打ち水”の実験

冬の道路に地下水を散水して雪を解かしている「消雪パイプ」を、夏の暑さ対策にも用いようと、新潟県長岡市と長岡技術科学大の姫野修司准教授らのグループは2日、「長岡まつり」でにぎわうJR長岡駅前で、道路延長約1.7キロメートルに及ぶ大規模な散水実験を開始した。
「消雪パイプ」は長岡市が発祥地で、今年は、同駅近くの市道に全国で初めて敷設されてから50年にあたる。姫野准教授らは、同市越路地域の道路などで2007年から毎年、夏の散水実験を実施。本格的な市街地ではなく、調査も狭い範囲にとどまったが、最大2度の気温低減効果を確認。昨年、仏・リヨンで行われた水の有効利用に関する国際学会で、温暖化対策への新たな試みとして発表している。
 今回は、廃油を使ったバイオディーゼル発電機で電力を供給し、2日は昼前から午後3時すぎまでほぼ30分おきに約10分程度ずつ散水。サーモグラフィー画面で温度を観察し、高温で赤く映っていた路面上が、低温の青になっていく様子が確認された。会場では、子供などが水を受けて喜ぶ姿も見られた。
 姫野准教授によると、地下水の温度は季節にかかわらず13〜16度程度で安定しており、夏の冷却効果も水道水より高い。散水時間は1日1時間程度で、1日中地下水を使うこともある冬に比べると少なく済むという。
 姫野准教授は「地下水の大切さに気付いてもらう機会にもなる。市街地でこれほど広域で継続的な「打ち水」はほとんど例がなく、貴重な実験」と話す。撒水実験は6日まで行う予定。

2011.8.3 読売新聞

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