環境トピックス

震災廃棄物:東京都が受け入れへ 2年半で50万トン

東日本大震災で発生した災害廃棄物の処理問題で、東京都は28日、岩手・宮城両県の廃棄物を都内の施設に運んで処理すると発表した。都によると、東北地方以外での処理は初めて。被災地は処理能力を超す大量の廃棄物を抱えているが、放射能汚染への懸念から広域処理は進んでいない。30日に都と処理に関する協定を結ぶ岩手県の達増拓也知事は「復興に向けて非常に大きな足がかりとなる」と歓迎した。

都によると、10月から14年3月までの2年半に約50万トンの廃棄物を受け入れる予定。まず岩手県宮古市の仮置き場にある混合廃棄物計1000トンに着手し、10月から鉄道で東京に搬出し始める。
 岩手県が9月に宮古市の清掃センターで廃棄物の焼却灰を測定。放射性セシウムが1キロ当たり133ベクレルで、国が定める基準値(1キロ当たり8000ベクレル)を大幅に下回った。安全性が確認されたため受け入れを決めた。処理費用は国が負担する。
 岩手県の廃棄物は、都内の民間破砕施設に鉄道で運び、不燃物と可燃物に分別。可燃物は焼却施設で処理後、不燃物はそのまま東京湾の埋め立て処分場に埋める。安全性確認のため、廃棄物の搬出時や都内の破砕・焼却施設で、大気中や焼却灰の放射線量の測定を随時実施する。宮城県の廃棄物も同様に都内施設で処理する方針。
 14年3月末までに災害廃棄物処理を終えるという国の指針を受け、岩手県は8月末「県災害廃棄物処理詳細計画」を策定。計画によると、震災で県内の沿岸部で発生した災害廃棄物の総量は約435万3000トンに上り、県内の施設だけでは1日当たり約800トンの処理先が不足する。 このため県では環境省を通じ、県外の自治体にも災害廃棄物の受け入れを打診。同省は5月1日の段階で、41都道府県の一般廃棄物処理施設で受け入れが可能と回答していた。
 県は6月末から沿岸各地で災害廃棄物の放射性物質の値を測定。東京都も職員を数回、現地に派遣して話し合いを進めていた。県の担当者は「現状を把握したうえで、化学的に安全と判断してもらえたのだと思う」と話した。達増知事は「都の取り組みが契機となり、その他の地域での受け入れが進むことを大いに期待している」とのコメントを発表した。
 一方、宮城県の担当者は28日夜「がれきの搬出先について複数の自治体とまだ協議中」と説明した。県外搬出に向け、がれきの放射能サンプル検査を来月にも始める予定という。

2011.9月28日 毎日新聞

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