環境トピックス

  

非食料からバイオ燃料

― 関連技術持ち寄り コスト、石油並みに ―

新日本石油や三菱重工業、トヨタ自動車など6社は9日、食料にならない植物を原料とするバイオ燃料の共同開発を進めると発表した。植物の栽培や糖化、発酵など各社の技術を持ち寄り一貫生産を構築。2015年までに生産コストを1リットル40円程度まで下げ、石油に劣らないコスト競争力を持つ代替燃料の実用化を目指す。

鹿島やサッポロエンジニアリング、東レを加えた計6社で「バイオエタノール革新技術研究組合」を2月下旬に設立する。理事長には新日石の松村幾敏副社長が就任。本部を東京大学内に置く。植物を原料に使うバイオ燃料は植物が生育する際に二酸化炭素(CO2)を吸収するため、CO2排出をゼロとみなせる。ただ現在はトウモロコシなどを原料に使うため食糧価格の高騰につながるなどの問題が指摘されている。

新日石などは食料にならない植物の茎などに含まれるセルロースを利用し、自動車燃料に使うバイオエタノールを生産する。トウモロコシなどを使う従来製品より加工が難しくコストも高いが、トヨタが持つ植物の品種改良や栽培技術、三菱重工の分解技術などを持ち寄り、東大なども連携してコストを現状の四分の一程度に下げる。乳手が安易で加工に最適な植物の選定も課題となる。

組合の研究開発費は5年間で40億〜50億円の見込み。まず国内で実験設備を建設し、将来は海外で原料となる植物の栽培やエタノールの商業生産も検討する。(中略)

政府はバイオ燃料をCO2削減の重要な手段と位置づけ、まず10年度に年50万キロリットル(原油換算)導入する目標を掲げている。石油業界などが販売を始めたが、原料は輸入に頼っているのが実情で、安定調達するため、新日石などは国産技術の確立を目指す。

(H21.2.10 日経)


温暖化ガス排出 5〜15%削減軸に検討

― 政府、中期目標で6案 ―

2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)交渉で焦点となる温暖化ガス排出削減の中期目標について、政府がまとめた六つの案が明らかになった。20年の目標は排出削減のコストや国際交渉の情勢を考慮し、1990年比で7%増から25%減まで、幅広い案になった。政府はこのうち実現可能性が高い5〜15%程度の削減幅を軸に絞り込み作業を進める方針で、6月までに日本の目標を決定する。

12日に開く麻生太郎首相直轄の「地球温暖化問題に関する懇談会」(座長・奥田碩トヨタ自動車取締役相談役)に提示する。麻生首相は同日、中期目標を実現するため、地球温暖化防止と景気浮揚を両立する「グリーン・ニューディール」政策を各省が連携して進めるよう指示する方向だ。

六つの案は「現状の排出削減努力の継続を前提とした6%増(90年比)」や、「米欧と同程度の費用をかけて対策をとることによる7%増〜2%減」など、一定の前提を置いて目標を示した。排出削減量が最も大きいのは「25%減」で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した「先進国全体で25〜40%の削減が必要」との見解をもとに作成した。

日本は排出削減を比較する基準年を、現行の京都議定書の90年から変更するよう求めており、05年と比較した数値も示した。基準年を05年とすると、6案は4%減〜30%減となる。

中期目標の検討を進めている懇談会の分科会(座長。福井俊彦前日銀総裁)は今後、この6案に対して産業界や国民から意見を募るなどして現実可能などを分析。国際情勢や国民生活、企業活動への負担を考慮し、6月までに正式に決める。

作成した案は具体的な削減率を設定した場合、どのような対策が必要かを明示し、議論を進めやすくする狙いがある。ただ政府内では「5%から15%程度の削減幅で収束する」との見方が強まっている。日本は京都議定書で、08〜12年に90年比6%削減することになっており、一段と踏み込んだ目標を掲げなければ、各国の理解を得るのは難しい。(後略)

(H21.2.8 日経)


CO2削減目標 オフィスより厳しく

― 都、10年度から8% 産業部門6% ―

東京都は2010年度から5年間に都内の大規模事業所に義務づける二酸化炭素(CO2)排出量の削減率を工場など産業部門よりもオフィスなどの業務部門を高く設定した。00年度以降、産業部門が排出量を大幅に減らしたのに対して、業務部門は1割以上も増やしているからだ、排出量の3割以上を占めるオフィスに厳しい目標を課して削減効果を高める。

都が近く発表する10〜14年度に大規模事業所に課す「削減義務率」は、オフィスやホテルなど業務部門が8%、工場など産業部門が6%。業務部門の削減率が産業部門に比べて2ポイント大きいのは過去の伸び率が両者で異なるからだ。

都は20年までにCO2の総排出量を00年比で25%減らす目標を掲げる。05年度までの5年間の排出量の伸びをみると、産業部門が19%減ったのに対して、業務部門は11%伸びた。

景気拡大で都心のオフィス需要が増えたことが主因で、都が目標を達成するには業務部門の削減が不可欠だ。一方、昨秋以降の景気低迷で業績が悪化した製造業はCO2削減につながる大規模な省エネ投資が困難と都は判断した模様だ。(後略)

(H21.2.6 日経)


温暖化防止で日本、国連に提案へ

― 排出削減、途上国に助言 ―

2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)作りに向け、政府がまとめた新提案の全容が判明した。温暖化ガスの排出を削減する技術を途上国に移転するため、国連に専門機関を設置するよう要請する。排出削減の中期目標については日本の数値を示さず、各国・地域が自助努力で達成できる削減幅をまず提示すべきだと呼びかけるにとどめる。

ポスト京都を巡る国連交渉の期限は2009年末。政府は6日にも、今回の提案を国連気候変動枠組み条約の事務局に提出する。3月末にドイツのボンで開く作業部会でも提案し、各国・地域の理解を求める。事務局は6月をメドに、各国・地域の提案を踏まえたポスト京都の具体案を提示する予定だ。

日本は今回の提案で「アドバイザーグループ」を国連に設け、どの国・地域にどんな排出削減技術が必要なのかを助言するよう求める。鉄鋼や電力、セメントなど主要産業の専門家を主要国から集め、途上国への技術移転を促す。

ポスト京都の最大の焦点である排出削減の中期目標については、主要国の具体案が出そろいつつあるが、日本は数値の提示を先送りする。麻生太郎首相は1月末の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、6月までに公表する方針を表明した。

日本は先進国に対し、各国・地域が自助努力で実行する削減幅を提示し、ここから交渉を開始するよう要請する。海外から排出枠を購入して削減する分については当面、自分の国・地域の目標に組み込むべきではないとの見解を盛り込む。

欧州連合(EU)は「20年に90年比20%減」という中期目標を掲げた。そのうち三分の一は海外からの排出枠購入で達成する計画。日本の提案はこれをけん制した格好だ。

ポスト京都では排出枠に関する詳細なルールが決まっておらず、公平性を確保するためにも純粋な削減幅で交渉すべきだと判断した。

さらに国際エネルギー機関(IEA)などと連携し、各国・地域が太陽光発電や新型原子力発電などの新技術開発に関する行程表を作成・共有するよう提案する。中国などの新興国は排出削減技術の知的財産を無償で開放するよう求めているが、これらの要求を拒否。民間企業の持続的な研究開発投資を支えるため、知的財産を適切に保護すべきだと主張する。

世界の温暖化ガス排出量を2050年までに半減する目標を各国・地域で共有する⊃袈宗ε咯綛颪魯櫂好筏都で省エネ義務を設定する――といった従来の提案も盛り込んだ。

(H21.2.6 日経)


日本、重量・取得税免税に

― 4月から欧米各国も相次ぎ優遇 ―

政府は環境対応車の購入を促す優遇税制を2009年度税制改革案に盛った。09年度予算が成立すればハイブリッド車や電気自動車の購入者は、自動車取得税や自動車重量税が免税になる。(中略)

法案が年度内に成立すれば、ハイブリッド車、電気自動車は、これらが4月からゼロになる。ほかの環境対応車も燃費や排出有害物質の量などに応じて税金が50〜75%軽減される。いまも燃費性能に応じて一部の税金が軽減されているが、09年度からは優遇税制が大幅に拡充される。(後略)

(H21.2.6 日経)


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