環境トピックス

  

パネル4800枚ずらり 水戸浄水場でメガソーラー稼働

災害時でも停電せず安定して水を供給できるよう、茨城県企業局は14日、那珂市の県中央水道事務所水戸浄水場で、最大出力1メガワットの大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の稼働を始めた。
 県施設でのメガソーラーの導入は初めて。浄水場に設置された太陽光発電施設としては全国3位の規模という。
 県企業局によると、これまで同浄水場には自家発電装置がなく、大震災では一時停電。メガソーラーは災害時の代替電源となるだけでなく、普段も使うことで電力会社からの供給を減らし、夏場の電力不足対策に効果があることから、約4億7千万円を投じて設置することを決めた。通常は1年かかる工事を急ぎ、約3か月で完成させたという。
 1.4ヘクタールの敷地に、長さ1.5メートル、幅約1メートルの太陽電池パネル4800枚がずらりと並ぶ。見学した橋本昌知事は「首相は原発依存度を引き下げると言ったが具体策は見えない。県としては太陽光や風力など自然エネルギーを積極的に導入していく」と述べた。

2011.7月15日 朝日新聞


後絶たぬゴミ投棄、アナログTVが増加 石川

石川県内の山林や海岸部で家電などのゴミの不法投棄が後を絶たず、各自治体が頭を悩ませている。今月末の地上デジタル放送完全移行を控え、最近はテレビの不法投棄が増加傾向にあるという。パトロール強化や監視カメラを増やすなど対策に力を入れるが、厳しいのが現状だ。
□20分で10袋分
6月下旬、金沢市が実施している不法投棄監視員のパトロールに同行した。市は2009年度から臨時職員として監視員10人を雇用。2人1組で午前9時〜午後5時、山間部や海岸付近を巡回している。不法投棄されたゴミを見つけた場合には回収もする。
 この日は海岸近くの市道沿いを巡回。車から降りてみると、道路脇の側溝や斜面にペットボトルや空き缶が散乱していた。洗剤の容器やポリ袋に詰めた食器トレーなど明らかに家庭から持ち込んだことが分かるゴミも目につく。
 大型トラックが行きかう中、回収作業が続いた。家電の投棄はなかったが、わずか20分たらずで約10袋ほどのゴミが集まった。監視員の岡田昭弘さん(48)は「山間部に捨てられた大型ゴミの回収作業は大変。拾う人の苦労がわかっているのだろうか」と憤った。

□税金が無駄に
近年、増えたのがアナログテレビの不法投棄だ。県廃棄物対策課によると、県内で不法投棄されたテレビの台数は09年度には485台で、前年度よりも100台以上増えている。10年度は上半期だけですでに241台で、引き続き増加傾向にある。地デジ化を控え、買い替えたテレビを投棄しているケースが多い事が原因とみられる。
 同課は「適正に処理されている台数の割合からみると不法投棄は少ない。県外から持ち込まれた可能性もあり、投棄者の特定は難しい」という。
金沢市のテレビの投棄数は4〜5月の2カ月間で37台と、前年よりも10台増。テレビの場合、回収後は専門業者に有料で引き取ってもらう必要があり、費用はすべて税金で賄われる。同市の担当者は「心ない市民のせいで税金が無駄に使われている」と話す。

□監視強化も…
 各自治体ともパトロール強化や監視カメラを増やすなどして不法投棄の減少に力を入れる。金沢市では今年度は9台を新たに設置する予定で、計19台の監視カメラを市内の山間部や海岸部に設置する予定だ。同市は「投棄の現場を押さえることはもちろんだが抑止効果も期待したい」。
 また羽昨市では6月から午後10時〜午前6時に防犯を兼ねた夜間パトロールも始めた。人目の少ない深夜から未明の監視を強化することで、不法投棄を防ぐのが狙いだ。
 だが、どんなに監視を強化してもゴミをすてる人は後を絶たない。ある自治体の担当者は「気軽な気持ちで捨てていく人が多い。地道に捨てないように訴えていくしかない」と嘆いた。

2011.7月14日 朝日新聞


セシウム検出牛:福島県内で解体…避難区域260戸

福島県南相馬市の農家から高濃度の放射性セシウムに汚染された牛が出荷されたことを受け、県は12日、計画的避難区域と緊急避難準備区域にある約260戸の農家から出荷される牛について、今後はすべてを県内で解体し、放射線量の検査を済ませてから出荷する方針を決めた。消費者の不安を解消して風評被害を防ぐためにも、安全性を自前で確認する体制の確立を急ぐ。
 福島県の肉牛の年間出荷頭数は約3万3000頭。このうち県内で食肉処理されるのは約1割で、残りは生きたまま県外に出荷され、多くは首都圏の市場に送られている。
 県は当初、生きたまま出荷する肉牛については食肉処理場のある各自治体で全頭検査を実施してもらう体制を築くよう、厚生労働省や農林水産省に働きかけていた。しかし、多くの自治体が、果物や野菜などの検査に追われており、「お願いするのも困難な状況」(県畜産課)であることから、方針を変更した。
 ただし、課題も多い。現在、県内の食肉処理場は郡山市の1か所だけで、1日36頭を処理するのが限界だ。このため県は今後業界団体と協議し、計画的な出荷体制が取れるよう調整していく。
 また放射性物質を検査する器材が不足していることから、一部の検査を農林水産省の独立行政法人「農林環境技術研究所」(茨城県つくば市)に委託する方針。

2011.7月13日 毎日新聞


CO2:全原発停止で排出量16%増 福島10基では3%

国内の商業用原発全54基を停止して火力発電に切り替えた場合、二酸化炭素(CO2)排出量が1年間で最大2.1億トン増えることが12日、環境省の試算でわかった。温暖化防止の京都議定書では、日本は08〜12年の温室効果ガス排出量の平均値を1990年比6%削減する必要がある。CO2を出さない原発がすべて停止すると、排出量を90年比16%押し上げ、巨額の排出枠購入を迫られることになる。江田五月環境相が同日の衆院復興特別委員会で明らかにした。
 政府は原発に対する新たな安全評価を実施し、定期検査で停止中の原発も確認後に運転を再開させる方針。ただ、立地自治体の不信感は強く、来年3月末までに自治体が再開を了承しないと、全原発が停止しかねない。
 環境省によると原発を全基停止し、火力で代替した場合、CO2排出量は年1.8億〜2.1億トン増加する。国内の温室効果ガスの排出総量は90年度の12億6100万トンに対し、09年度は12億900万トンで4.1%減にとどまる。6%削減を達成できない場合、「排出枠」を海外から購入する必要がある。国内排出枠取引価格は1トン1200円〜1300円で、排出増の全量を排出枠購入で相殺すれば、最大年2700億円の負担が生じる。
 一方、東京電力の試算によると、福島第1、第2原発の10基を停止、火力で代替した場合、排出量は年約4100万トン増え、国内の排出量を約3%押し上げることも判明した。
排出枠購入コスト増は年500億円超。浜岡原発を停止した中部電力も年1200万トンの排出増を見込み、年150億円超のコスト増となりそうだ。
 環境省の試算が電力各社の火力(石炭、石油、LNG=液化天然ガス)の平均値で算出したのに対し、東電は石油、中部電はLNGで換算。東電については、CO2排出量が石油より4割少ないLNGも使うため、現実の排出量は試算より少なくなりそうだ。
 ただ、長期的に原発の稼働が低迷すれば、温暖化対策との整合性を問われるのは確実。政府が掲げる20年の排出量を90年比25%削減する目標についても、見直しが検討課題となりそうだ。

2011.7月13日 毎日新聞


放射性物質:焼却灰から7万ベクレル超を検出 千葉 柏

♢可燃ゴミ、2か月後受け入れ中止も

千葉県柏市は10日、市内の清掃工場で発生した焼却灰から、1キログラム当たり7万ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことをあきらかにした。東京電力福島第一原発事故の影響とみられ、焼却灰の埋め立てを6月末から中止している。現状では、約2か月で灰の保管スペースがなくなり、一般家庭などからの可燃ゴミの受け入れが不可能になると予想される。
 国は6月、同8000ベクレル以上の焼却灰は埋め立てず、一時保管するよう指針を定めたが、一時保管後の処分方法は決めていない。同市は週明けにも国に対し(1)埋め立て可能な最終処分の新基準策定(2)一時保管場所の確保(3)処分費用の全額国庫負担――を緊急要望する方針という。
 同市によると、公園や一般家庭の庭などで放射線量を下げる目的で、草刈りや樹木の枝・葉の剪定(せんてい)を実施し、可燃ゴミとして清掃工場へ持ち込まれたため、数値が上がった可能性があるという。
2か所の清掃工場のうち、6月下旬から7月上旬まで3回の検査の最大値は南部クリーンセンターで同7万800ベクレル、北部クリーンセンターで同9780ベクレル。両センターの焼却灰の最終処分場で同4万8900ベクレルだった。
同市は1日平均約280トンの可燃ゴミを2清掃工場で受け入れ、同21.3トンの焼却灰を最終処分場に埋め立てている。

2011.7月10日 毎日新聞


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