環境トピックス

CO2排出量が大幅減

― 減産など影響 ―



大手製造業が2008年度に国内で排出した二酸化炭素(CO2)の量が1990年度を大きく下回ったことが明らかになった。鉄鋼大手4社は90年度比11%、自動車5社は同39%減った。昨年の世界同時不況による大幅な減産が最大の要因だ。

主に国内生産部門のCO2排出量を各社の環境報告書などをもとに集計した。鳩山政権が掲げた中期目標「20年までに90年比25%削減」を一部ですでに達成した格好だが、あくまで景気低迷下の数字。成長を維持しながらCO2を減らす難しさが浮き彫りになっている。

新日本製鉄、JFEスチールなど高炉4社が大幅減となったのは、08年度の粗鋼生産量が前年度に比べ11%減った要因が大きい。トヨタ自動車、ホンダ、マツダ、三菱自動車、富士重工業の自動車5社の排出量は90年度と比べ39%減少。08年度の国内生産台数は07年度に比べ17%落ち込み、排出量減に直結した。

長期で見ると省エネの努力が反映している部分もある。鉄鋼は90年度に比べれば生産量は増えているのにCO2排出量は減っており、排熱の回収・再利用などが効果を上げている。自動車業界も90年度からの排出量の削減幅が生産台数の減少幅を上回る。塗装工程の改善やエネルギー源の見直しなどが奏功した。

07年度の製造業の国内CO2排出量は国全体の3割強を占める。一方、オフィスや店舗などから出るCO2は国全体の17%、家庭のCO2は13%を占め、それぞれ90年度に比べ4割以上増えている。家電製品の増加や店舗の多機能化といった仕事や暮らしの利便性向上が排出増につながっている。

(H21.10.16 日経)

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