環境トピックス

温暖化対策、全体像示せず

― 政府タスクフォースが中間案 ―


政府の地球温暖化問題に関するタスクフォース(座長。上田和弘京大教授)は19日、中間取りまとめ案を公表した。2020年までに温暖化ガスの国内排出量を1990年比で25%減らす目標について、家計や経済全体への影響を試算した。ただ家計の負担をどう定義するかで議論が紛糾。温暖化対策の全体像も示せず、政府の迷走ぶりを露呈した格好だ。

同日の会合では国立環境研究所と日本経済研究センター、慶応大学の野村浩二准教授が試算を提示した。国内の取り組みだけで25%削減する場合、家計の可処分所得を年13万〜76万5千円押し下げると計算した。

麻生太郎前政権は国内の努力で25%削減する場合、可処分所得を年36万円押し下げるとの試算をまとめた。これに対して民主党は「負担を強調しすぎている」と指摘。前政権のように1機関の試算を採用するのではなく、3機関の分析を併記することにした。

しかし幅のある数字が混乱を招いたのは否めない。政府内からは「やっていることがちぐはぐ。対策の戦略が描けていない」との声も出ている。

国内で削減する分と、海外からの排出枠で削減する分の試算も公表。3機関が4つのケースで分析した結果、国内削減分(10%、15%、20%、25%)が少ないほど家計負担が減ることがわかった。政府は「相当程度は真水で実現できる」(管直人副総理)との立場だが、難しい判断を迫られそうだ。(後略)

(H21.11.20 日経)

印刷用ページ 

ページトップへ